分野別研究会の趣旨
20世紀末からの新自由主義批判、グローバル化批判、途上国との連帯や反戦平和の諸運動の登場と、2008年以後の経済危機と新自由主義的緊縮国家の形成の中で、各国の政治学会では批判的政治学が提起されている(アメリカ政治学会でのNew Political Science Caucus 英国政治学会での「国家理論」「マルクス学派」特別部会、J.Trent and M.Stein (eds.)(2012) The World of political Science Barbara Budrich Germany など)。より人間らしい社会の形成や進歩的な政治発展と結びついた、批判的な政治研究がいまほど求められている時はないだろう。日本の政治学をみると21世紀に入ってからはその動きがまだ弱いと言わざるを得ない。私たちは日本の政治学の中に批判的政治学を形成したいと考えている。個別の分野に拡散する傾向がある日本の政治学を、新自由主義批判などを共通のプラットフォームとして今一度、分野横断的に求心化するという意味では、この研究会は日本政治学のさらなる発展に資すると考えられる。その際、マルクスおよびマルクス学派(グラムシ等)のテキストを再読・再発見しつつ、日本政治学にふさわしい批判的政治学を形成する研究アプローチを重視したい。またエコロジー、ジェンダー、エスニシティといった社会関係は資本主義的な政治と深く連鎖しており、途上国の低開発・貧困や世界的な戦争・平和の問題も資本主義的国際政治経済ぬきには考えられない。したがって、エコロジー、ジェンダー、エスニシティ、国際政治、平和学等からの研究アプローチも、批判的政治学という家族の大切な一因となる。批判的政治学は、それにふさわしい政治学区方法論の探求から、自由・共同・平等を重視する政治思想や、「主権国家」「市民」「民主主義」等をラディカルに再検討する政治理論、新自由主義的政治体制についての実証分析、諸国・地域における新自由主義国家の形成を矛盾にかんする政治史研究、現代資本主義国家の行政機構と民主主義的自治的ガバナンスの研究、新自由主義・現代帝国主義の観点からする国際政治研究にいたるまで、幅広い研究分野から構成されることになるだろう。
主要分野・関連分野
- 主要分野
- 171 政治理論
- 関連分野
- 115 政治哲学、120 政治史、150 日本政治、197 政治経済学、180 政治制度論
責任者連絡先
責任者 久保木 匡介(長野大学)
E-mail:kuboki*nagano.ac.jp(*を@に置き換えて下さい)
事務担当 二宮 元(琉球大学)
E-mail:nino38gen*yahoo.co.jp(*を@に置き換えて下さい)
新規参加手続き
当研究会にご参加を希望される方は、責任者または事務局担当者にメールで、所属、職位、学会構成員かどうか、研究テーマ、連絡先をお知らせください。大学院生その他若手研究者の入会を歓迎します。追って、連絡をいたします。